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南の町から目的の場所まで あっと言う間です

お決まりの場所 秋桜の咲く丘に向かってアクセルを踏みます
 

気持ち急いで でも安全運転で

プロロロローと言う音を立てて 車は南に向かいます
 

程なくして 目的の丘に着きました

南の町の さらに南にある丘です
 

丘のふもとに車を置き マスターと階段を上っていきます

階段を上りきったその場所が この時期のお決まりの場所なんです
 

トン トン トン トン

トン トン

トン
 

階段を上りきった その先に

一面に広がる 淡いピンクの絨毯が待っていました
 

これが この時期のわたしとマスターのお決まり

丘の頂きに咲き誇る 秋桜の花です
 

「今年もきれいに咲いてるな」

「……そうですね」
 

マスターのつぶやきに そう答えます

お互い 視線は秋桜に向いたまま
 

不思議ですね
 

毎年 こうして秋桜を見に来て

毎年 同じように見入ってしまうんです
 

春はポピーが咲き 秋は秋桜が咲く丘

毎年変わらずに咲く 花たち
 

海から吹いてくる風に 楽しげに揺れています

淡いピンクの海に さざ波が立っているようです
 

腰を下ろして ビール片手に花を見ているマスター

その横に座って 編み物を始めるわたし
 

心地よい秋の風が 吹き抜けていきます
 
 
 


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