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さむいあさのこと

 

とある 寒い朝

いつものように お店の前を掃除していました
 

昨日までの冬晴れは どこへやら

お日様は 厚い雲の向こうに隠れています
 

吹き抜けていく 木枯らし

身体の芯から冷えてしまいそうな そんな感じです
 
 
 

さっ さっ さっさっさっ

砂埃を ほうきで集めていきます
 
 
 

ふぅ こんなもんかな?

ちょうどお掃除が 一段落した頃……
 
 
 

… …

…… ……
 

音もなく 空からなにかが舞い降りてきました

いくつも いくつも
 

こなゆき…

寒いとは思っていましたが まさか雪が降るなんて
 

思わず手のひらで 受けとめました

舞い降りては消えていく 白く儚い雪を
 
 
 
 
 

がちゃっっ カランコロン

「マスター マスターっ ほら!」
 
 
 

お店の中に顔を突っ込んで マスターに声をかけます

何事か? という感じのマスター
 

「おー 雪かぁ そういや寒かったもんなぁ」

外を見て 納得したようです
 

「教えてくれて ありがとな」

呼びに来たわたしを見て にこにこと笑っています
 

なにがおかしいんでしょう?
 
 
 

空から次々と舞い降りる 雪

それは この冬はじめての雪 でした
 
 
 

fin20000125


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