歩いていると、空から白いものが舞い降りてきた。
いくつもいくつも、次々と舞い降りてくる。
空一面を埋め尽くすように、辺り一面を覆い隠すように。
粉雪か・・・
手のひらをかざして受けとめる。
冷たいな・・・
粉雪が手のひらに降りては消えていく。
そういえば・・・
思い出した。
あれは・・・そう、彼女が初めて雪を見た日のこと。
初めて見る雪にはしゃぐ姿が、とてもいとおしく見えた。
今でもおぼえている、あの日の雪の白さ、冷たさ、そして彼女の笑顔。
寒そうにしていた彼女を、コートに包んだときのぬくもりを。
こんな雪の日には、彼女も思い出しているだろうか?
空一面の雪を見上げながら・・・
粉雪のように白く、無垢な彼女。
もう会うこともないだろうが、できれば元気でいてほしい。
椎那、わたしはいつまでも見守っているよ・・・