エスペラント命名の話
・ 商品や企業の名前を見ると「あ、これエスペラントかな」と思われるのがときどきあります。これを「語形/語源/意味」の観点で分類してみましょう。もっとも、ここで「実はエスペラントではない」となったものでも、「こうなんだよ」という話しの種にはなるでしょう。
・ 実例が載っているウェブサイトとして次の3つを挙げます。
□ ネーミングに使われている事例
□ こんなところにエスペラント
□ エスペラントによる商品名
●真エス
語源がエスペラントであるとはっきりしていて、語形も正しいもの。
なお、エスペランチストとの関わりでは、大きく3通りあるので、それを例1〜3に配する。
・例1:航空機持込用の車付きバッグ「フルーゴ」← Flugo:
・・・ 経営者がエスペランチスト.なおバッグには「パーショ」「エレガンテ」「コンフォルテ」などのブランドもある.
=(株)スワニー
・例2:かつての日立製作所のテープレコーダ「ベルソーナ」← Belsona(=美音の):
・・・エスペランチストが命名に応募して採用された
・例3:JR東日本系列のペンション「フォルクローロ」← Folkloro:
・・・特にエスペランチストとは関係ない。
●変エス
語源はエスペラントだが、語形は変形しているもの
・例1:乳酸菌飲料「ヤクルト」←Jahurto(=ヨーグルト)
・例2:かってあった雑誌「フェリカ (Felica)」←Feliĉa
・例3:会社名で、英語変形+エスペラント変形:「アルフレッサ・ホールディング(株)」
= Alfresa =Al (←英語 All) + fresa (←エスペラント freŝa)
●似エス
語源はエスペラントと共通で、意味も同じか近い。語形はエスペラントそのままか少し違う。数としては多い。
・例1:語学学校の Nova。
・・・ラテン語起源ならエスと同じ「新しい」という意味。英語起源なら、「新しい」から派生した天文用語「新星」(エス:novao)。
・例2:大阪のサッカーチーム「ガンバ (Gamba)」。
・・・日本語の「がんばれ」とかけているが、それはエスペラントのgambo(脚)と同語源。
・例3:店名「エスペランサ (Esperanza)」
・・・スペイン語で「希望」。
・例4:歌の名前の「トキオ」
・・・「東京」のドイツ語形などが Tokio。エスペラントでもTokio。
●偶エス
語源、意味がエスペラントとは全く関係ない。たまたま語形が同じか近い。
・例1:JEI事務所の近くにあるレストラン Foresta (フォレスタ)。
・・・おそらく英語の Forest(森)を意識している。エスペラントでforesta といえば、「不在の」、「欠席の」。
・例2:クレーンを作っている加藤製作所。
・・・クレーンの腕に「Kato」と書かれているが、もちろんエスペラントの「猫」の意味ではない。
・例3:オランダの銀行 RABO-bank。
・・・エスペラントで解釈すると「強奪銀行」になってしまうが、もちろんまっとうな銀行で、UEAの取引銀行の一つ。
なお、ちょっと違うが、関連して:
●訳エス
単語は民族語だが、エスペラント関係の用語の訳にあたる。
・例1:「緑星企業」。
・・・エスペランチストがおこした企業で、エスペラントのシンボル緑の星を意識。
・例2:Green Star Trading Co.
・・・上記と同様のアメリカの会社。
記: 柴山純一