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後日談。
 
 バタバタバタバタ。
「おばちゃん、おばちゃん。あいつのセリオ売りに出すってホント?」
「なんだい、藪から棒に」
「ホントか?」
「うん…… ホントよ。どうしても辛くなっちゃうから、ね」
「なあ、おばちゃん。あのセリオ、オレに譲ってくれないか? 中古ショップよりも高い値出すからさ」
「そりゃあ、あんたが引き取ってくれるならそれに越したことはないよ。お金の問題じゃないんだから」
「じゃ、決まりな」
「でも、どうしたんだい? 急に」
「だってよ。あの子はあいつの形見だぜ。それにあんないい子よそに売っぱらっちまうなんて、罰が当たるよ」
 

 次の年の冬。
 またメールが巡り、みんなが集まったその日。
 寒桜の下で、みんなにあの日本酒をついで回るセリオの姿があった。

 

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