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たとえばこんな「星に願いを」

Twinkle twinkle little star.
How I wonder what you are 〜♪

「セリオさん、その歌はなんて言う歌なんですか?」

帰り道、マルチは、ふと口ずさんだセリオにそうたずねた。

「――日本では”きらきら星”と呼ばれている歌です」
「なんだかとても優しい感じの歌です?」
「――西欧の童歌(わらべうた)で、子守歌としても使われるそうです」
「だからこんなに優しいメロディなんですねー」

目を輝かして聞くマルチ。
的確に答えるセリオ。
穏やかな空気が流れていく。

「わたしも歌えるようになりたいですー」
「――人間のみなさんのお役に立つためには子守りの能力も重要です。覚えるとよいと思います」
「はいー」
「――子守歌と言えば、こういうものもあります」

そういってセリオは別の歌を口ずさみ始めた。

When you wish upon a star
When you wish 〜♪

「わあー それはなんて言う歌なんですか? セリオさん」
「――日本では”星に願いを”と呼ばれている歌です」
「星にお願い事をするんですか?」
「――はい。ほぼ全世界中で、夜空の星に願いを込める風習があります」
「そうなんですかー さすがはセリオさん、お詳しいですー」
「――いえ。そんなことはありません」
 

キラリ、と夕暮れの空に一筋の光。

「きれいですー」
「――流れ星、ですね」
「はいー」

流れ星が流れた方角を見続けるマルチ。
思い出したようにセリオが口を開いた。

「――そういえば、人間の方たちの間には”流れ星に願いを込める”と言う風習もあります」
「流れ星に、ですか?」
「――はい。”流れ星が流れきる前に3回願い事を唱えることができたら、
 その願いはかなう”と言われています」
「3回もですか? 難しいですー」
「――だからこそ、”うまくいったときには願いがかなう”と信じられているのでしょう」
「そうなんですかー それじゃ今度流れ星を見つけたらお願いしましょう」
「――そうですね」
 

それからしばらくして。

キラリ、と夕焼け空に一筋の光。

「あ、え、えっと、えっと」

突然の流れ星に慌てるマルチ。
その間に、光は消え去っていった。

「はぅー 難しいです」

しょぼくれるマルチ

「セリオさんは願い事を唱えられましたか?」
「――はい」
「うわー さすがセリオさんです。それでなんて唱えたんですか?」
「――金、金、金、です」
「さすがはセリオさんです」
「――地獄の沙汰も金次第、と言いますから」
「はい」

にっこり微笑むマルチ。
夕暮れから薄暮に変わりはじめた空を見上げるセリオ。

その空の彼方には、2人を優しく照らすようにきらきらと星たちが輝いていた。
 

fin20000210
 
 
 

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と言うわけで、別バージョンです。
ま、こう言うのもありってことで(笑)
なお、ネタはkeiと共同で考えました(笑)
では


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