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〜ちっちゃなセリオは看板娘〜 のあとがき



小説痛快#05掲載時の後書き。
 毎度ごひいきにどうも。
 初めてお手に取られた方、初めまして。
 ちひろです。
 拙作をご覧頂き、ありがとうございました。
 早いもので小説痛快も05となりました。
 00からスタートしてますから、通算で第六巻目となります。
 早いものですね。
 これも読んで下さる皆さんのおかげと感謝しています。
 さて、今回のお話ですが、またしてもちびセリオにがんばってもらいました。
 このシリーズは、元となったToHeartからかなり離れた、ほとんどオリジナルなお話となっているのですが、
にも関わらず思いの外好評を頂いていまして、密かに胸をなで下ろしています。
 ここ最近は「メイドロボットが当たり前に存在する世の中」に暮らすセリオ達を書こうとしてもがいているのですが、
さてうまく描けているやら。
 もしご意見ご感想ありましたら、ぜひお聞かせ下さい。
 次回もよろしくお願い致します。


再録に当たって
 拙作をご覧頂きありがとうございました。
 初出から7年を経てようやく、と言うか、今更、と言うかWebに再録しました。
 許可はとうの昔に出てまして、単に私が更新をサボっていただけです。すみません。
 ToHeartが発売されてから10年以上が経ち、セリオという存在が時間の流れの中で薄れていきつつある状況において
果たしてこのお話を再録することにどれほどの意味と価値があるかはわかりませんが、過去にこう言う話を書いたという
自分自身の記録として残しておこうと思います。
 当時書いたちびセリオのお話はこれが最後です。
 読んでくださった方、ありがとうございました。

20100523 ちひろ拝



おまけ

 ちっちゃなセリオの物語 番外編 「あつはなついですー」


「ふへぇ〜」

 マウスに覆い被さりうんざりと言った感じのちびセリオ。

「暑いです〜」

 朝からそんなセリフを連発しています。

「しかたないよ。省エネでエアコンの設定変えれないんだから」

 あきらめ顔でマスターさんがそう言いました。
 パタパタと100円ショップで買った扇子を動かしていますが……あまり効果はなさそうです。

「あう、なんでサーバーさんの置いてあるコンピュータールームが省エネ規制の対象なんでしょ?
 サーバーさんがとんだらどうするんでしょ? 責任は誰が取るんでしょ? あう、責任者でてこーい」

 よほど暑いのか錯乱状態のちびセリオ。
 
「はいはい、扇いであげるから文句言わないの」

 パタパタと扇子でちびセリオを扇ぐマスターさん。
 その首筋を汗が伝っていきます。
 マスターさんの会社は、今全社を挙げて省エネに取り組んでいます。
 でも本社のエアコンの真下ででもプランを立てたのか、実験室の熱源やコンピューターの発熱、
西日による気温の上昇などは全く考慮されていません。
 ちびセリオの叫びは部署みんなの心の叫びでもあるのです。
 パタパタパタ、とマスターさんが扇ぎつづけます。
 でも、熱い空気をかき回しただけであまり涼しくはなりません。

「ふへ〜」

 ちびセリオは本来暑さ寒さに強いはずなんです。
 ロボットですし、そう言う地域にいくこともありますから。
 でも、どうも仕様書通りになっていません。
 マスターさんとこのちーちゃんは、暑いのが苦手みたいです。

「しょうがないなぁ」

 苦笑交じりのマスターさん、ちびセリオを持ち上げると給湯室へ。
 シンクの中にちびセリオをおき、あたりを見回して誰もいないのを確認すると、手早くちびセリオの服を脱がせました。
 ボディスーツまで全部。すっぽんぽんです。

「あ、あうあうあうあう、なにするんですか〜?」
「いいから黙って」

 マスターさんは裸のちびセリオをシンクの真中に置くと、水道の蛇口をひねりました。

 ジャーーーーーー。

 水道の蛇口に取り付けたれたシャワーヘッドから、シャワー状の水がちびセリオの上に落ちていきます。
 まるで夕立のようです。

 ジャーーーーーー。

 ひとしきり水浴びをさせてから、マスターさんは自分のマグカップを取り出し中にちびセリオを入れ、水を注ぎました。
 簡易水風呂の出来上がりです。
 カラン、と氷をひとかけ。
 なんだかとっても涼しそうです。

「うわ〜、涼しいです〜。マスターさん、ありがとです〜」

 ほんの10分程度の水浴び。
 ちーちゃんには至福のときだったようです。
 マスターさんも喜んでもらえて満足顔。
 ついでに自分もタオルを濡らして首筋を拭いています。

 暑い暑い夏だけど、なんとか工夫して乗り切っていこう。
 ちびセリオはそんな風に思いました。

fin

 水浴びするちびセリオを見て、事務のセリオが「――いいなぁ」とつぶやいていたとかいないとか。
 夜、誰もいなくなってから自分も試してみようと思ったとか思わなかったとか。
 ホントに試そうとしたとかしないとか。
 真偽の程は不明です。



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