アマガミ 響先輩SS 「ダッ君をゲットよ!」


 「あ、橘君発見!」

 「森島先輩。どうしたんですか?」

 「ふふふ。じゃーーん」

 「お、この雑誌の切り抜きは」

 「そう、新しいダッ君グッズがでたんだって。君にはぜひ教えないと、と思って」

 「ありがとうございます。あれ、これなら商店街のゲーセンで見かけましたよ」

 「わお、橘君さすがだね。もうチェック済みだなんて」

 「いえ、たまたまですよ」

 「そっか、ゲームセンターのクレーンゲームに入っているのね」

 「ええ、この雑誌の記事のプライズ商品って言うのはそう言うことですね」

 「なるほどなるほど、それなら早速ゲットしに行かなくちゃね」

 「はは、そうですね」

 「そうしたら、ダッ君友の会を招集しなくちゃいけないな」

 「ダッ君友の会?」

 「うん! 会員は私と美也ちゃん」

 「み、美也ですか」

 「そうよ。美也ちゃんとは同じダッ君ファンとして固い絆で結ばれてるわ」

 「そ、そうだったんですか……」

 「もしよかったら、橘君も一緒に行かない?」

 「え、あ、まあ、いいですよ」

 「このダッ君が私のものに…… 楽しみだなー」

 「そうですね」

 「なにが楽しみなの?」

 「あ、塚原先輩」

 「あ、ひびき、ちょうどいいところに」

 「なにがちょうどよかったの?」

 「今日の放課後、この子を貸して」

 「な、なんで私に聞くの?」

 「そりゃあ、ねえ?」

 「なにが、ねえ? なのかよくわからないけど、貸すとか貸さないとかって、
 彼はものじゃないのよ」

 「はいはい、わかってますって」

 「わかってなさそうだから言うんじゃない」

 「駅前のゲームセンターにダッ君新作グッズが入ったらしいの、それを今日の放課後に
 ゲットしに行くのよ」

 「なるほど、それで彼を……」

 「あ、ひびきも来る?」

 「うーん、今日は部活の打ち合わせがあるからちょっと厳しいな」

 「んー、それは残念。それじゃ彼は借りてくね」

 「だからっ」

 「まあまあ……」

 「まったくもう。橘君、悪いけどはるかのお守りをよろしく頼むわね」

 「はい」

 「さすがひびき。話がわかってる。橘君にはこれからも色々お願いしちゃおうかなー」

 「と、特別だからね……」

 「なにが?」

 「彼を貸すのは」

 「あれー? 橘君はものじゃない、だったよね」

 「あ……。もう、はるか、そう言う揚げ足取りはよくないよ」

 「でも、ひびきが言ったんだよ。ものじゃないって」

 「そ、そうだけど……」

 「ふふふ、素直じゃないんだから」

 「もう、そうやってからかわないで」

 「わお、ひびきに怒られたからたいさーん」

 「まったくもう」


 放課後、森島先輩と一緒にゲームセンターにダッ君を取りに行った。
 七咲の話だと、塚原先輩は部活の打ち合わせの間中ずっとうかない顔をしていた、らしい。
 帰り道で「一緒に行きたかった」とつぶやいていた、と聞かされた。
 もしかしたら、森島先輩の誘いを断ったほうがよかったのかもしれないな。




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