アマガミ 響先輩SS 「相談に乗ってください!」


 「先輩っ」

 「お、七咲か、どうかした?」

 「えっと…… あの、ですね」

 「うん?」

 「ちょっと相談に乗ってもらえませんか?」

 「うん、いいけど、どうしたの?」

 「その、服を買おうと思っていて、雑誌を読んだりお店を見に行ったりしてるんですけど」

 「うんうん」

 「どんなのにすればいいか、決めかねていて……。それで、先輩の意見を聞きたいな、と」

 「ええ? 僕の意見??」

 「はい、私、女友達ばかりなので、周囲の意見って大体同じようなところに
 決まっちゃうんです。それで、男の人の意見も聞けたらいいかな、と思いまして……」

 「なるほど。あ、でも、森島先輩の意見なら、七咲の友達とは違うんじゃないか?」

 「も、森島先輩じゃダメなんです」

 「え?」

 「あ、いえ。えーと……、私は先輩の意見が聞きたいんですっ」

 「わ、わかったよ。参考になるかはわからないけど、七咲がそう言うなら……」

 「よかった。雑誌を持ってきたので、どこか座れるところで見てもらえませんか?」

 「いいよ」

 ……

 「うーん……」

 「……」

 「うーんうーん……」

 「……」

 「うーーーーーん……」

 「あ、あの、先輩? なんでいちいち私の顔をじーっと見るんですか?」

 「え、ああ、この服を七咲が着たらどんな感じかなって思って」

 「あ、それで私を見ていたんですね」

 「うん。そうだなあ、この辺とかこの辺かな」

 「なるほど。参考になります」

 「あ、いたいた。七咲さん」

 「え?」

 「お、これが噂の彼氏ね」

 「え!?」

 「休み時間にテラスで雑誌広げてなにやら相談? うらやましいなあ」

 「あ、ち、違うから、先輩はそう言う関係じゃないから」

 「またまた〜 隠したってダメだよ」

 「そうそう、七咲にすごーく仲がいい先輩がいるって話は、みんな知ってるじゃない」

 「せ、先輩は、その、仲のいいお兄ちゃんみたいなもので、付き合ってるとか
 そう言うのじゃないから」

 「照れない照れない」

 「そうね…… 用事はまた後にするね。お邪魔みたいだし」

 「だから違うって…… あ、行っちゃった」

 「な、なんてコメントすればいいのかな」

 「先輩、すみません。あの子たち色々誤解しているみたいです」

 「まあ、七咲と噂になって悪い気はしないけどね」

 「もう、先輩、冗談でもそう言うことは言っちゃダメですよ」

 「はは、ごめんごめん」

 「あ、もうこんな時間。先輩、ありがとうございました。失礼します」

 「うん、またな」

 「あ、服を買いに行く時は一緒に行って下さいね」

 「え? あ、タイミングが合えば」

 「クスッ、冗談ですよ」


 七咲に似あう服、か……
 僕の意見なんかで参考になったのかな。
 そう言えば、七咲と別れ際に見えた後姿は塚原先輩だったような……




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