アマガミ 響先輩SS 「よし、今日もがんばるぞ」



 「(今朝も寒いなあ…… 学校までの坂道がもっと短ければいいのにな)」

 「(あ、向こうに見えるのは塚原先輩だ。早起きして見るものだな)」

 「(せっかくだから追いかけて挨拶しよう)」

 「(け、結構歩くの早いなあ…… ん? なんだろう、塚原先輩がいつもと違うような
 気がする)」

 「(なんだろうな。うーん、特に様子がおかしいという訳じゃないし……)」

 ……

 「よ、よし、正門目前で追いついたぞ」

 「あ、橘君。おはよう」

 「はぁはぁ、お、おはようございます」

 「どうしたの。走らなくちゃいけない時間じゃないよね?」

 「塚原先輩が歩いているのが見えたので追いかけたんですけど、ふう、先輩歩くの
 早いですね」

 「そう? 普通だと思うけど」

 「あー、やっと追いつけたと思ったらもう正門だ」

 「ふふ、ちょっと短いけど校舎までは一緒に行けるよ」

 「あ、そうですね。短くてもいいです。挨拶しようと思っただけですから」

 「それだけのためにわざわざ走ってきたの?」

 「ええ、塚原先輩を見つけて ”よし追いかけて挨拶しよう" とふと思ったんです」

 「くす、君って面白いね」

 「そうですか?」

 「あ、悪い意味じゃないよ。だからはるかも七咲も橘君と話していると楽しそう
 なんだなって思って」

 「(あ、今、口元に持っていった手…… だから違和感があったのか)」

 「ところで塚原先輩。手袋はどうしたんですか? いつもはしていますよね?」

 「あ、気がついた? 橘君、意外にちゃんと見てるんだね。ふふ、ちょっと理由が
 あって今はしてないんだ」

 「そうなんですか。洗濯したとか」

 「ちょっと違うんだけど…… もしかしたらそのうちわかるかもね。あ、それじゃ私は
 下駄箱あっちだから。またね」

 「あ、はい、失礼します」


 こうして塚原先輩と朝一緒に登校した。
 感じた違和感の理由はわかったけど、なんでいつもはしている手袋を今日はして
いなかったんだろう……
 うーん、謎だ。
 


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