アマガミ 響先輩SS 「頼れる先輩」


 「(お、あそこで話をしているのは七咲と塚原先輩じゃないか。ちょっと声を
 かけてみようかな……)」
 
 「あ、先輩」
 
 「あら、橘君」
 
 「そこを通りがかったら二人を見かけたので。話の邪魔をしちゃいました?」
 
 「いえ、そんなことないですよ」
 
 「うん、部活の打ち合わせはもう済んでいるし。今は雑談中、かな」
 
 「ええ、そうですね」
 
 「雑談って、何の話だったんですか?」
 
 「え、あ、その……」
 
 「女の子同士の秘密の会話だったんだけど……ふふ、橘君、聞いてみたい?」
 
 「お、女の子同士の秘密の会話……」
 
 「塚原先輩、そんな言い方したら先輩が誤解しちゃいますよ」
 
 「そう? 私としては構わないんだけどな」
 
 「だめですよ。橘先輩の妄想はすごいんですから……」
 
 「へえ、そんなにすごいんだ……」
 
 「あ、いえ…… そ、そう言えば塚原先輩と七咲って、先輩後輩の関係以上に
 仲がよさそうに見えますね」
 
 「そ、そうですか?」
 
 「うん、塚原先輩と話をしている七咲って、楽しそうだし」
 
 「そうだね。私も七咲と話をしていると楽しいな」
 
 「そ、そうですか。なんだかとてもうれしいです」
 
 「塚原先輩からしたら、七咲は可愛い妹って所ですか」
 
 「そうだね。何事にも熱心だし、色々聞いてくれるし、こんな妹が欲しかったかな」
 
 「そ、そんなことないですよ。塚原先輩は部活のことはもちろん色々な面で頼りに
 なるから、つい見かけると声をかけたり、困った時に相談してみようって思ったり、
 なんて言うか……」
 
 「うん?」
 
 「頼れるお姉さんって感じで」
 
 「なるほど」
 
 「私には弟しかいませんから、こう言うお姉さんが居たら楽しいだろうなって、
 安心できるだろうなってそう思うんです」
 
 「そ、そんなことないよ。私は結構これで抜けていたりするし」
 
 「いえ、そんな謙遜してもダメです。塚原先輩の持っている安心感は、頼れるお姉さん
 どころかお母さんって言うレベルですし」
 
 「お、お母さん?」
 
 「はい、水泳部のお母さんって感じです」
 
 「……」
 
 「はは、七咲、いくらなんでもお母さんは言いすぎじゃないか?」
 
 「そんなことないですよ。お母さんです。すごーくできたお母さんです」
 
 「お母さん……か」
 
 「あれ、塚原先輩? どうしたんですか」
 
 「あ、ううん、なんでもないよ」
 
 「でも、なんだかちょっと落ち込んでいるような……」
 
 「(な、七咲、察してやれ)」
 
 「これからもよろしくお願いしますね。塚原先輩!」
 
 「うん、よ、よろしくね」

 塚原先輩がすごく頼りになる人だということがよくわかった。
 でも、いくらなんでもお母さんを連呼されたらショックだろうな



アマガミSSのページへ戻る