Collection No.4  リバースインタリオ カフリンクス
 c.1870〜1910 英国製

カメオが陽刻であるとすれば、インタリオはその逆で表面を印鑑のように掘り込んである状態と説明すれば分かりやすいでしょうか?そもそもはインタリオというのは印章としての役割があり、古代から使われてきた技法ですが、この作品のようなリバースインタリオというのドーム状の水晶や硝子の裏側を彫り込んで彩色したもので非常に手間のかかる職人技が必要でした。

この作品はその中でも非常に質の高い作品で4面全部違う game (狩猟のときの獲物のこと)が鮮やかに描かれ、時を経たいまでも全く色あせてはおりません。陰刻が深ければ深いほどひっくり返して見たときの立体感や存在感は増し、まるでミニチュアのフィギュアを閉じ込めたようになるのですが、この作品の鳥(多分、鴫、鴨、雉、鶉)は非常に生き生きとしており、この作品を作った職人の技術の高さを感じさせてくれます。18金の台と水晶のカボッション(ドーム状の石)との間には真珠母(mother of pearl)の薄いディスクかはめ込まれております。水晶を使用したものはエセックスクリスタルと呼ばれ、それは英国のエセックス地方にかつては水晶が産出したことから名付けられたそうです。

リバースインタリオの作品は良く女性物のブローチなどに使われましたが、カフスボタンにも好まれ、特に狩猟や競馬馬や犬などのモチーフが良く使われ、ツィードなどの狩猟服やカントリーウェアを着用したときに着用していたようです。この流行は長く19世紀から1930年代まで良い作例が見られます。


fig1. 表面のディテール